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下関にて

「もしもし、芳一さん、耳が落ちていましたよ」

「ああ、ありがとうございます。道理で聞こえが良くないと思いましたよ」

「大きな耳ですねえ」

「ええ、マギー審司さんが『でっかくなっちゃった』というときに使う耳を両耳そろえてくださったんです。おかげでマスクもかけられるし、大助かりなんですよ」

「コロナウィルスが問題になっていますし、琵琶の名手である芳一さんが倒れたら大変ですからね」

「マスクに手洗いうがい、不要の外出はしない。ですから大丈夫です。新曲もできました」

「おお、シンガーソングライター芳一の新曲ですか」

「今回は、懐かしのレコード盤で売り出します。A面が『花粉もウィルスも平気物語』、B面が『3月3日ひな段の裏の哀しみ』という曲です」

「素敵ですねえ。さすが、下関のさだまさしと言われるだけありますね」

「いやいや、他の方に作詞してもらった曲もあるんです。近所に昔住んでいたシンゾー君が作詞し、僕が作曲した『もう桜なんて見ない』という曲なんですが」

「ちょっと世間がもめそうな曲ですね」

「そうでしょう。人の言動にいちいち炎上するから嫌になりますよ。だから、僕、じつはエレキギターを練習してるんです」

「え、琵琶じゃないんですか」

「実は、これ、琵琶の形をしたエレキギターなんです。ハードロックを始めようかと思いまして」

「芳一なのにロックとは、これいかに」

「よだ監督がやきゅうと言うがごとし」

「うまいっ。と言ってる場合じゃない。ハードロックなんてできるんですか」

「ええ、ギンギンに着飾って、派手な曲を歌いまくれば、日頃の憂さも晴れるかと思いまして」

「芳一さんのロックコンサートか、すごそうですなあ」

「でも、今、人が集まるのは御法度でしょう。当分コンサートはできませんよね」

「そうですねえ。憂さ晴らしはスタジオの中で行うしかありませんね」

「でも、僕はお寺に住んでいるので、あまりうるさくできないんですよ」

「エレキギターですからね。そうだ、うちの会社の横に小さな小屋があります。今は使われていませんから、そこをスタジオにして、エレキギターをバンバン練習してください」

「え、そんなこと、いいんですか」

「ええ、うちの会社は海辺でカニを加工する平家ガニ株式会社というんですが、社長が芳一さんのファンですから、きっとOKですよ」

「なんという幸運でしょう。ありがとうございます」

こうして芳一は、平家ガニ株式会社の横にある小さなスタジオ「芳一堂」で、毎夜、琵琶型エレキギターをかき鳴らすようになったということです。べんべんべんべんべん・・・

・・・耳なし芳一異聞

山下べんべんべんべんべん氏、県会長就任おめでとう

by182136T

 

“下関にて” への2件のフィードバック

  1. 182337Y より:

    相変わらず、おもろい、というか、すごいなぁ。
    最後にきてのシメ、どきっとしました。ご丁寧にありがとう。今各種引継き、勉強中です。
    先日ハナイとメシ食った。下関でも名物を。縁あって日間賀島で。
    1-8、懐かしいなぁ。

  2. みらく より:

    頭パンパンで働かないなあ・・・(>_<)
    よだ監督の辺りがよくわかんない。数字に関係してる??

    こういうお話、もっともっと聞かせてほしいなあ。
    ニュースばかりじゃ疲れちゃう。(=^_^=)

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