GS物語
「ああ、いい天気だね。格さん」
「そうだね、助さん。散歩日和だ。もしもし、おじいさん、お金が落ちましたよ」
「え?あれまあ。落としたんじゃあなくって、投げたつもりだったんだがなあ。」
「あ、このお金、寛永通宝だ。もしかして、あなたは」
「昔は銭形平次と呼ばれたもんですが。すっかり衰えてしまいやして」
「おお、そうでしたか。かっこよかったですねえ、銭形平次」
「ありがとうございます。あなたがたは?」
「渥美格之進と佐々木助三郎と申します。」
「おお、あなたがたは、あの有名なお方のおそばに仕える助さんと格さんじゃねえですか。ご老公は?」
「今日は、デイサービスに行っているんですよ。ですから、私たちはのんびりと散歩しているところです。」
「ご老公の相手も疲れるので、こういうときにのんびりしたいんですよ。私たちだってもう若くありませんからねえ。」
「そうですか。大変なおつとめですねえ」
「あれれ、あんなところで、片肌脱いで怒鳴っている人がいるぞ。」
「これを見忘れたとは、言わさねえぞ!」
「もしもし、おじいさん、どうされましたか」
「あ、これは大きな声を出したりして、すみません。一度やってみたかったので。」
「あれ、大岡様」
「おや、そういうお前は平次」
「大岡様は、冷静な言動で人気なのに、どうされたのですか」
「いやあ、実は遠山の金さんに憧れていて、一度やってみたかったんだ。でも、南町奉行と北町奉行だから、そのまま真似しちゃいけないと思って、背中の桜じゃなくて胸のチューリップにしてみたんだ。それに入れ墨は痛くて嫌だからワッペンにしたのです。どうかな」
「『この胸のチューリップのワッペンが目に入らねえかい』って啖呵をきるんですかい」
「まるで幼稚園児のやくざですね」
「遠山の金さんに対抗して『大岡の銀さん』と名乗ろうかと」
「金さんと銀さんて、昔人気だったおばあちゃん姉妹みたいですよ」
「ああ、あれは可愛いって人気でしたねえ」
「俺たちはどうして人気がないのだろう」
「体力も人気もないなんて悲しいなあ。」
「そんなことを考えてはいけないよ、諸君」
「あ、あなたは」
「私は、紀州出身と言われているが、実は豊橋出身の暴れん坊将軍です」
「おお、白馬に乗って海岸を走る、暴れん坊将軍」
「私、体力の衰えを感じていましたが、ライザップのおかげで20代の体力に若返りました。わははは」
「すごいなあ、私もできるかなあ」
「あっしもやりたいです」
「私たちもやりましょう」
「おお、皆さんもやりますか。みんなで体力を回復したら、ユニットを組みませんか」
「え、ユニットって、お風呂ですか」
「最近、健康ランドが好きでねえ」
「違う違う。グループを作って、アイドル活動をしませんかってことですよ」
「ええっ、アイドル活動!そんなことができるかなあ」
「できるできる。歌なんかすぐですよ。『じーんせい らくありゃ くーもあるさー おーとーこだったら ひとつに かーけーるー おーれー おーれー まつけんさんばー』ね、できたでしょ」
「私の歌が入っていませんね、くすん。」
「大岡様のテーマ曲は歌詞がないですからね。しかたない、じゃあ、代わりにあなたをセンターにしてあげましょう」
「う、うれしい。ユニット名はなんにしますか」
「『下り坂60』とか」
「CMの真似して5人のじいさんだから『5G』かな」
「『GS』はどうですか。」
「グループサウンズですか。懐かしいなあ。」
「となると、私はジュリーかなあ。」
「私は、ショーケン」
「いや、グループサウンズじゃなくて、『じーさんず』って意味だけど・・」
「ともかく、GSでいきましょう」
こうして、5人のじーさん達は、体を鍛え、ユニットを組んで、いろいろな高齢者施設を回るようになりました。どこでも、おばあちゃん達の熱い声援を受け、大人気のユニットとして、今年の紅白出場を狙っていますとさ。めでたしめでたし
by 182136T
182136Tさま、絶好調ですねえ。(⌒▽⌒)
makuntaさんから、ここのcontact使って連絡が入りました。
どうもうまくコメントが書き込めないようです。
私も、コメントに限っていえばパソコンから書き込めません。いつもタブレットからやってます。
でもそのタブレットがかなり弱ってきました。動作がとんでもなく遅い上に、時々突然途切れてトップ画面に移ってしまうの。
換え時なんですかねえ・・・